石正麗が提供したゲノムによって作られたキメラコロナウイルス

≈西暦2,004年12月
石正麗の隣の研究グループが、SARS患者が生成する抗体を検査する為の診断キットを提供する。石は、蝙蝠の抗体に此の診断キットを適用した。結果、3種類のキクガシラコウモリから採取したサンプルにSARSウイルスの抗体が含まれている事が判明した。又、コロナウイルスが蝙蝠に存在するのは一時的且つ季節的なものである事や、抗体反応は数週間から数年持続する可能性が有る事が分かった。此の診断キットは、ウイルスのゲノム配列を見つける手掛かりとして重要な指針を提供した。石達は、此の診断キットを利用して、ゲノムの手掛かりを探す為に調査する場所と蝙蝠の種類を絞り込んだ。そして、中国各地の山岳地帯を歩き回った後、蝙蝠由来のウイルスの自然遺伝子ライブラリを築き上げた石頭洞窟(中国雲南省昆明市晋寧区夕陽彝族郷)に着目し、其処で5年間、集中的なサンプリングを行った。結果、多様な遺伝子を持つ数百もの蝙蝠由来のコロナウイルスを発見した。其の大半は無害であったが、其の内数十種は、SARSと同じグループに属し、シャーレ内で人間の肺細胞に感染し、マウスにSARSに似た病気を引き起こす事が分かった。そして、キクガシラコウモリから、コロナウイルス株を発見した。此のウイルスのゲノム配列は、広東省でハクビシンから発見されたSARSウイルスと97%近く一致していた。

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